世界一の切れ味を誇るともいわれる日本刀。その製造には代々受け継がれてきた、刀匠太刀の技術がある。日本刀の製造工程について解説する。
●工程その一 水へし・小割り・・・原材料となる砂鉄で作った玉鋼(たまがね)を熱し、厚さ5mm程度に打ち延ばす。これを2~2.5cm四方に小さく割っていき、皮鉄(かわがね)用の硬い鋼と心鉄(しんがね)用の柔らかい鋼とに分ける。
●工程その二 積沸し・・・より分けた皮鉄用と心鉄用の玉鋼を、それぞれ別のテコ台に積み重ね炉で約1300度で熱する。素材が沸かされ(熱せられ)一つの塊となる。
●工程その三 鍛錬・皮鉄造り・・・素材を平たく打ち延ばし、切れ目を入れふたつ折りにして重ね、再び熱し打ち直す。この鍛錬という作業を15回ほど繰り返し、心鉄をくるむ強靱な皮鉄がつくられる。
●工程その四 心鉄造り・組み合わせ・・・刀の芯となる柔らかい心鉄を平らに打ち整え、U字形にした皮鉄でくるむ。これを「組み合わせ」という。柔軟性と強靱さを兼ね備えるため、この工程は欠かせないのだ。
●工程その五 素延べ・火造り・・・組み合わせを終えた刀身を再び熱し、打ち延ばして行くことを素延べという。完成に近い長さになったところで鋒を打ちだした後、鉋や鑢、砥石などを使って表面を仕上げることを火造りという。
●工程その六 土置き・焼き入れ・・・粘土や炭、砥石の粉などを混ぜた焼刃土を刃の部分に塗っていく。これを土置きといい、刀身を約800度で熱した後、水で急冷する作業を焼き入れという。この工程で刃文の形や文様がつくられる。
●工程その七 仕上げ・銘切り・・・焼き入れを終え、反りや曲がりなどを整え荒研ぎを行い、細かな傷や割れがないかを確認する。茎の部分に目釘孔を空け、最後に作者の銘を茎に切って日本刀が完成する。